ガラスの仮面



□#35「アルディスとオリゲルド」 紅天女への道



2年以内に賞を取れと月影先生から言われたマヤは、早くも演劇界の注目作で
亜弓とともに主役を張るまでに這い上がる。マヤ、恐ろしい子
まあ、速水の導きがあってのことなんだけど。
「ふたりの王女」の配役は月影先生の提案で、本人たちも大方の予想も裏切って
天真爛漫な生まれついての王女役にマヤ、孤独で不遇な王女役に亜弓が振られた
ことに戸惑いながらも、受けて立ったマヤ。
亜弓は、どん底から這い上がってきたことでマヤに以前にはなかった自ら進んで
挑戦する激しい一面を見て取る。いよいよ本当の意味での亜弓のライバルになったマヤ。
その横顔を見て亜弓は、かつてマヤの演技を一目見たときから終生のライバルと
見定めた自分の判断の確かさを確認する。
亜弓もまた恐ろしい子
でも天然なところのあるマヤがアルディス、いつも張り詰めている亜弓が
オリゲルドというのは、ぴったりな配役でしょう。
#32でAパートの大部分を使って亜弓の過去を描いておいたのが生きてくる。
沙苗ちゃん、矢島晶子さんの声としては、むしろ逆の役で聞いてみたかった気もする。
速水はマヤを奮い立たせ、素晴らしい演技を見せたら紫のバラを贈ろうという。
マヤに対する気持ちを自覚したことで、こらえ切れなくなったように
本心をちらつかせる。
「お見事ですわ」(水城:佐久間レイさん)
それを盗み見る水城マネの心の中が謎だなあ。
速水はバーで一人、マヤと自分のことを考えている。
「ファンは、振り向いてもらえなくてもその人のために何でもしてあげたくなる」(バーテンダー
…まったくだなあ。でも夢中になっているときは、それはそれで至福の時なのかもしれない。
自嘲するようなセリフを口にしながら速水の顔は満足げに見える。
なかなか役をつかめないマヤと亜弓。
亜弓の発案で亜弓の家で暮らすことになるマヤ。
亜弓の私室は本当のお姫さまの部屋のよう。
そして亜弓自身はどこかの暗く冷たい地下室で孤独に暮らす。
二人はライバルではあるけど常に亜弓がその強い意思でマヤを引っ張り上げていく。
マヤのほうは誰にも真似できない天才のきらめきでそれに応えていく。
二人の関係は、どうしても「ヒカルの碁」を思い出してしまう。
やはり「ヒカ碁」は「ガラスの仮面」を下敷きにしているよね。
かつて「ヒカ碁」の塔矢アキラを1年半演じて最後はヒカル役の川上とも子さん
ともども感動的な演技を聞かせてくれた沙苗ちゃんは、今、マヤの側から
この運命的なライバル関係を眺めて何を感じているんだろう。
今回はマヤと亜弓の表情など絵は少し微妙だったけど、稽古場の雰囲気はわりと
良かった。欲を言えば、もうちょっと雑然とした感じが出ているともっと良かったかも。
長大な「ガラスの仮面」の中でも有数の見せ場である「ふたりの王女」の舞台へ至る
過程を今回じっくりと描いているのはいい。
それにしても、稽古場でふたりの王女にお茶を振舞う皇太后を担当する
月影先生役の藤田淑子さんは素晴らしい。
声優陣でこのアニメを締めているのはやはり藤田さんだなあ。
断崖に生える1本の梅の木のような孤高の気高さと心の中の優しさが完璧に表現
されているよなあ。惚れ惚れするような声の演技。
レストランで紫のバラの人を待つマヤの前に現れた後姿は明らかに速水。
原作を知らなくてもここは当然速水が現れる場面だけど、速水の後姿までは
描かなくても良かった。驚くマヤの表情だけのほうが次週への引きとしては
良かったかな。
ED曲のイントロは余韻を感じながら、ふーっと一息ついてクールダウンできて、
いいED曲だと思う。